『私信』-我が友へ-


我が友人へ...

直接、話が出来る環境にいながら、「何故?」と思うかもしれないね。
それは「こういう話は、口で伝えるより、言葉で伝える方が相応しい」と思ったから、この型式を取ったんだよ。


素子ちゃん、貴女は今、自分の存在意義に対して悩んでいるのでしょうね。
それに対して、自分自身に今一つ、自信が持てない...と云ったところでしょうね。

人間、早かれ遅かれ、壁というものにぶち当たる時期はあるんだよ...
それに対して、本当の意味で正面から壁にぶち当たることができるのは、普通の人には少ない...
でも、素子ちゃんは既に「普通の人」では無く「特別な人」となっているのだよ。
だから、真正面から壁に立ち向かうのは「運命」であると認識してほしい。

素子ちゃんは、言ったよね?「私は姉上のようになる」と...
だから、知ってほしい...その壁とは、どこまでいっても、「素子ちゃん自身」であり、決してお姉さんや、他人では無いと云う事を。

今こそ、その壁を乗り越える時だよ。
今こそ、「私は姉上のようになる」という目標を実現する時だよ。

そのためには、もっともっと自分に自信を持ってほしい。
心配はいらないよ...伊達や酔狂で免許皆伝を貰える訳はないし、いつぞやの山隠りで俺に対してやった「第二の太刀」も出来たんだから。
これは、並大抵の才能や汗ではできないことだよ...。

人間には、無謀な事をやらなくてはいけない場面は多いのだよ。
その時になって、「潔く覚悟をきめるか」、「醜く逃げに入るか」で、その人の価値と云うものが決まってしまうんだ。
少なくとも、俺はそう思うね...。

素子ちゃんに壁を乗り越える覚悟があるのであれば、絶対に素子ちゃんは倒れはしない。
だから、貴女自身の道を歩いていって欲しい。

もっともっと、高みを目指して欲しい。

もっともっと、深みを増して欲しい。

そして、人生には、もっと辛い事は「当たり前」の様に起こるもの...今よりも、もっと辛い事は、幾らでも起こりえるのだよ。
そうなってしまった時は、とことん落ち込んでおけば良い。
そして、落ち込んだ後は、前へ前へと進んでいけば良いのだよ。

色々なものは、常に変化していかなくてはならない。
当然、変わらないモノもある...それらは大事に持ってほしい。
だからこそ、「時流を直視する事が重要」と、認識してほしい。

貴女は、こういう事で埋もれるような人物では無い。
貴女は、スケールの大きな人物なのだから...。

俺は、近い内に素子ちゃんが『化ける』ことを、心より楽しみにしているよ。


後書き

これは、週刊少年マガジンVol30掲載分「ラブひな」72話の直後が舞台です。

これは、「ラブひな」72話の直後、景太郎が素子に『私信』を書いたら...と云う事を書いています。
景太郎の性格とずいぶん違うように思われますが...「こういうのが本音だったりするのかな...?」と思い、書いてみました。

私自身は、特定のキャラに思い入れは無い方ですが、今回の話を素子メインに据えて、良かったと思います。

最後になりましたが、私の文章にスペースを割いて下さった大塚さん、私の文章を読んで下さった皆様方に感謝しつつ、後書きを終わります。