-NADESICO THE AFTER NOVEL "FOR THE LOVE OF FAMILY"-

エピローグ




−ネルガル月面基地−
 その最深部に二隻の戦艦が係留されていた。
 一つはルリの艦、ナデシコC。
 もうひとつはラピスの艦、ユーチャリス。
「補給は終わっているわ。いつでも動かせるわよ」
 エリナがアキト達に簡単なデータを記したディスクを渡した。
 奇しくもアキト、ラピス、ショウ、イネスがオロチへと向かう日と、ルリ、ユリカ、ハーリーが再びナデシコCを動かし、クルーを乗せるために地球へと向かう日は同じだった。
「色々世話になった・・・ありがとう」
 アキトが深々と頭を下げた。
「よしなよ、今更恩だの義理だの言う間柄じゃないよ。僕たち」
 アカツキが横で笑ってアキトの肩を叩いた。
「ラピスちゃん、お肌の手入れは欠かしちゃだめだよ。それから・・・」
 ラピスに化粧水やら乳液が入った小箱をがっちり握らせるユリカ。
「ユリカさん、なにもそこまで・・・」
「いいの。ありがとう」
 口を挟もうとしたルリを制するラピス。
「今まで・・・誰もそんなことを教えてはくれなかったから。だから嬉しい。ありがとう・・・ユリカ」
ラピスがにっこりと笑い小箱を手に取る。
「そうだ。みなさんちょっといいですか?」
 ハーリーがアキト達に声をかける。
「ん、なになに?」
 ユリカを始め一同が注目した。
「これを・・・」
 言って5つの銀色のペンダントを取り出すハーリー。
 それは、中央にCCが埋め込まれたペンダントだった。
「懐かしいな・・・CCか」
 アキトがしげしげとそのペンダントを見つめる。
「でも、どうして・・・?」
 ルリが不思議そうにペンダントを見た。
「家族5人が再び集まる約束・・・とでも言うんでしょうか」
 言ってペンダントを手渡す。
「-ETERNAL FAKILY-・・・永遠の家族?」
 ペンダントにはそう彫刻されていた。ルリの言葉に頷くハーリー。
「でも・・・どうして?」
「それはですね」
 ルリの問いにアキトを見るハーリー。
「わがままな王子様が二度と逃げないようにするためですよ」
 ハーリーが笑みをたたえた視線をアキトに向けた。
「う・・・」
 事実だけに思わず返答に窮するアキト。
「言われまくっているわね。アキト君」
 横からつっこみを入れるイネス。
「そうだよね。アキト、今度置いていったりしたら絶対許さないから」
 以前の冷たいアキトを思い出したのかユリカが少し頬を膨らませる。
「そ、それは・・・ううっ、俺が悪かった」
 ユリカに頭を下げるアキト。
「心配無用」
 アキトの肩にショウが手を置く。
「今度こいつが『帰らない』なんて言ったら簀巻きにして君たちの所へ責任もって届けよう」
 その言葉に破顔一笑する一同。
「名残惜しいけど・・・そろそろ時間よ」
 エリナが時計を見せた。
「そっか・・・」
 アキトがユーチャリスを見上げる。
「アキトさん・・・」
 ルリが心配げに見つめる。しかしアキトは笑った。
「俺は必ず戻ってくる。だから待っててくれ!」
 はっきりと力強く答えるアキト。
「さあって、それじゃあゲート開けよっか。みんな早く乗った乗った」
 アカツキの言葉で、それぞれの艦に乗るアキト、ユリカ、ルリ、ハーリー、ラピス、ショウ、イネス。
ゲートが開き、濃紺の宇宙空間が彼らの頭上に広がる。
 青白く輝くユーチャリスとナデシコC。
 輝きがピークに達し、二隻の艦は消えた。
『家族の再会』を信じて・・・

 しかしこれから始まろうとするその試練には、まだ誰一人として気づいていなかった・・・

       FOR THE LOVE OF FAMILY 第2部 完


あとがき

 というわけでみなさん。第2部はいかがでしたでしょうか?
 第1部でアキトの過去のごたごたに一応の精算をしたつもりだったので、今回は全てのしがらみから解き放たれて前向きに生きようとする彼らの姿を書いてみました。
 ルリちゃんへの想いを伝えようと必死に頑張るハーリー君。
 新たな家族との絆を見いだし、新たな恋を見つけたラピスちゃん。
 戦人(いくさびと)としてしか生きる価値を見いだせなかったリョーコとサブロウタが生きる術を見いだそうとする。
 心に傷がある人は他人に対して優しくなれると云う・・・科学者としての良心に忠実に生きるショウ。
・・・本当に色々書きました。

 ですが、ここで一つ考えたことがあるのです。
 ときにみなさんは『ターカ・タッカル』という物語を御存知でしょうか?
 いわゆるシンデレラストーリーなのですが、これには王子様と結ばれた女の子のその後を描いた話が後に続くわけです。
 様々な苦難を乗り越えて強い女として生きていくという・・・

 ルリ、アキト、ユリカ、ハーリー、ラピス。第3部では彼らを大きな危機が襲います。その時彼らはどうするのでしょうか?
 いわば『絆の真価』が試されることになります。
 夫婦としてアキトとユリカはお互いを支えあえるのか?
 姉弟から恋人同士としての一歩を踏み出したルリとハーリーはどうなるのか?
 そしてラピスは・・・?

 全ての物語が終えたとき、彼らはどのようになるのでしょう?
 第3部で明かされる謎・・・
 宇宙の戦神とは何なのか?
 七宝衆とは?
 ヤマサキの真意は?
 そして・・・・

 第3部では新たに×××と×××が××します。
 ゲーム版ナデシコが好きな人には多分喜ばれるのではないでしょうか。

 そして、感想をくださったみなさん。まことにありがとうございました。ナデシコという物語を使って好き放題やりまくった私の小説につき合ってくださって感謝のしようがありません。
 また、私としてもうれしい誤算だったのが、小説版のオリジナルキャラクターを多くの方が大変気に入ってくださったという事です。(特にショウやヤヲトメなど)

 せっかくですので、オリジナルキャラクターのモデルやコンセプトなどをご紹介しましょう。(いやでしたら読み飛ばしてください。どうせたいしたこと書いてませんから)

 ショウについて(第3話〜第18話)
当初はただアキトを治療するだけのキャラクターだったはずなのですが、書いているうちに結構乗ってしまい、いつのまにやらメインキャラクターに昇格していました。
 彼は元々は以前没にした電脳戦機バーチャロン・オラトリオ・タングラムの小説に登場させようと思っていたキャラクターを元にしています。その辺のエピソードが断片的に11話に使われています。因みにその話ではライラは死なず、エンジェランというバーチャロイド(この世界における人型兵器の総称)に乗って研究所を脱出し、ショウもアジムというバーチャロイドを奪って愛の逃避行をするという話でした。
ヴィジュアル的なモデルは「サガ・フロンティア」というゲームに登場するヌサカーンという医師が一番近いと思います。年齢不祥なところや怪しげな雰囲気を持つ所など・・・最もショウは妖魔ではなくサイボーグですが。
 ネーミングは某3D格闘ゲームの私の好きなキャラクターからです。

ヤヲトメについて(第11話)
「ロスト・ユニバース」という小説があります。その主人公ケインの船にはキャナルというコンピューターの意識を具現化した少女がいます。オロチコロニーをケインの船に見立てた場合のキャナル・・・そういう身も蓋もないコンセプトで作ったキャラクターです。彼女は第3部で活躍するはずなのでご期待ください。 ヴィジュアル的なモデルは言うまでもなくキャナルです。ネーミングはこれを言ったらネタばらしになるので今は秘密です。

ライラについて(第11話)
 ショウの過去の話は先程述べたとおり、バーチャロンの小説から来ています。その物語を一部踏襲する形で11話を書いたので、当然彼女もそちらで作り起こしたキャラクターです。但し名前は決まっていませんでした。(プロット段階で没にしたという代物ですから)
 孤独に生きる科学者の心の支えになる・・・そんな意味合いからくらい過去にめげずに非常に明るく生きるキャラクターとして設定しました。彼女が生きていたのなら、一番ナデシコ的なキャラクターだったのかも知れません。
 ヴイジュアル的なモデルは「スレイヤーズ」という小説に登場するアメリアという女の子です。
名前についてですが、当初はルリと血のつながりがあるという設定があったため、ルリと何らかの関わりがあるということで着目したのがルリの誕生日7月7日です。言うまでもなく彦星と織り姫・・・アルタイルとベガです。しかしどっちにしても男性的な名前のためあえなく没。特にベガ・・・某格闘ゲームのラスボスを務める筋肉サイコパワー親父・・・。
 というわけで、ベガ、即ち琴座のラテン語の名前であるライラ(LILA)を使いました。オルフェウスという名字もギリシャ神話に登場する琴の名手オルフェウスからです。

アイザックについて(第11話)
ライラの父親である悪の科学者・・・その程度のイメージしかない奴です。実質上ショウの運命を変えた男です。余談ですが、11話でルリを妙な実験の被験体にしたため、ルリファンから嫌われまくるのでは・・・という投書がありました。
 ヴィジュアル的なモデルは特にありません。ネーミングは科学者という事で、物理学者のアイザック・ニュートンからとりました。こんな男に自分の名前をつけるとは・・・とニュートンもさぞかし草葉の陰から嘆いていることでしょう。

ナチについて(第16話〜第17話)
 リョーコがあこがれるほどの強い女。ということで考えたキャラクターです。ライラやヤヲトメとは対照的に同性に慕われる女というかなり癖のあるキャラクターだったと思います。
 剣の名手で名パイロット・・・反面女らしさが出せず、女性から好かれるかと言われると、だいぶ疑問です。反省点が多いですね。
 ヴィジュアル的なモデルは「サイレントメビウス」に登場する磯崎課長と、「パトレイバー」に登場した熊耳さんですね。ネーミングの由来は、とあるベアリングを専門に扱う会社からです。(卒業研究の時にその会社の製品をつかったのです)

ガイセについて(第17話)
 アイザックやヤマサキと双璧を成す極悪科学者・・・第17話はむごすぎるという投書までありました。彼はこれからの展開に深く関わるのであえてこの場で語るのはやめますが、ある意味草壁や北辰より恐ろしい奴です。
ヴィジュアル的なモデルは特にいません。名前の由来は月下の剣士というゲームの主人公「楓」の父親からです。

暴走族について(第7話〜第10話)
 三下悪役。この一言に尽きます。こりもせずに暴れる・・・そんなところですね。モデルも特にありません。強いて言うなら一部の台詞をキングオブファイターズというゲームに登場する七枷 社というキャラクターを参考にした程度です。名前も適当につけて変換しました。ただし、あまりにも「死ね」「殺す」を連発しすぎてナデシコにふさわしくないという評価もありました。言われてみればごもっともですね。

ガルダ以下テロリストについて(第13話〜第15話)
 彼らも特に細かい設定はありません。当初はヤマサキとの関わりもあったのですが、結局は無関係です。ガルダという名前はヒンズー教の魔鳥ガルーダをもじりました。

だいたいこんなところです。

未来、それこそが第3部のテーマです。
 ご期待ください。

 それではみなさま、第3部でお会いしましょう。
 よろしければ、ご意見、ご感想、質問等お待ちしております。

                   


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