機動戦艦ナデシコif「誰よりも早くあなたに出会っていたら・・・」

 

第二十一話:「古里」は初茜色に染まって・・・

 

「Y・ナデシコ、コスモスとのドッキング完了。続けてカキツバタの牽引作業に入ります。」

「牽引ねえ・・・なあ、ナデシコ、コスモス、カキツバタ、無理矢理ひとまとめにして、一体何をおっぱじめようってんだ?」

「うふふ・・・知りたい?」

「あ、いや、・・・やっぱ、いいや。俺は体育系だから。」

「あら、そりゃ残念ね。じっくりしっかり解説してあげたのに。」

思わず引いたリョーコさんに、説明し損ねて思い切り残念そうなイネスさん。

それはそうと、私たちこんなのんびりしていていいんでしょうか?火星の“遺跡”とやらを確保するっていってたんですから、

早いとこ火星に向かってぶっ飛ばした方がいいんじゃないのかなあ?

もっともいくらぶっ飛ばしても、チューリップを使って移動している木星さんのほうが、お先に到着するんでしょうが。

戦況は限りなく不利、っていうより最悪ですね。どうつじつまあわせるんだか。

・・・まあ、私たちのお人好しが原因といえば原因なんですけど。

あの事件の後、ハルカさんは・・部屋にこもりきりです。

白鳥さんを失ったショックが大きいみたいです。ユキナさんも、同じ。ただ、ユキナさんの場合は白鳥さんの死もショックだけど、

それ以上に、ハルカさんの落ち込みぶりに心を痛めています。

何か声を掛けて、励まして上げたいところなんですが・・・こういう場合、なんて言って声を掛けてあげればいいのか、わかりません。

それに・・・

私には、ハルカさんのことも気がかりですが、それ以上に明人さんの事が気になります。

信じていた木星の正義。

自分の好きな、ゲキガンガーの正義。

同じものを見て、同じものを信じていた。そう思っていたのに、それが裏切られた。

激昂し、悔し涙を流す明人さん。

私には、なぐさめることも、励ますこともできませんでした・・・私は、どうしたら・・

『瑠璃ちゃん、こちらの用意は出来たわ。明人君を呼んでちょうだい。』

カキツバタの、エリナさんから通信が入りました。さっきから何かこそこそやっていたみたいなんですけど、

今度は、明人さんを?一体何を始めようというんでしょうか?

いえ、それよりも・・・今、明人さんは・・・

「私が・・・明人さんを呼ぶんですか?」

『そうよ。』

「今は、明人さんをそっとしておいてあげて欲しいんですけど・・・」

『・・・瑠璃ちゃん、あなたがそう思う気持ちは分かるわ。けどね、一刻も早く私たちは火星に行かなくちゃならない。

木星の奴らよりもね。その為には、明人君の力が必要なの。・・・許してちょうだい。』

明人さんの、力?それじゃ、もしかしてエリナさん・・・

「もしかしてエリナさん、艦ごとボソン・ジャンプする気なんですか?」

『ご明察。さすがね。』

ほめられても、うれしくありません。以前ゲキガン・タイプを月に跳ばしたのとは訳が違います。質量、大きさ、距離、桁違いです。

「そんなこと、可能なんですか?』

「これまでのデーターから推測するに、ボソン・ジャンプに距離は関係ないわ。近かろうが遠かろうが、ね。

質量は確かに問題だけど、今回はC・Cも大量に用意されているし、まあ心配いらないわ。・・・明人くんの協力が得られれば、ね・・・」

私の疑問に、イネスさんが答えました。明人さんの、協力ですか・・・確かに、それが一番の問題でしょうね。

ただでさえ白鳥さんの事件の後で情緒不安定なのに、和平を拒んだネルガル・地球の為に協力しなければいけないなんて・・・

『協力だなんて悠長な事言ってる場合じゃないでしょう!無理矢理にでもさせるのよ!

このままじゃあ木連の連中に“遺跡”を奪われちゃうでしょうが!!』

 

「いいこと、明人くん。以前やったのと同じ要領で、いいわね?頼むわよ。」

自信満々のエリナさん。成功を微塵も疑ってない様子です。かたや明人さんは・・・

心、ここにあらずと言った感じです。やっぱり、和平失敗が堪えているみたい。

私が呼んだときも、ただ黙ってうなずいただけでしたし・・・大丈夫、なんでしょうか?

「C・C放出!ボソンジャンプ・フィールド形成!」

「ディストーション・フィールド出力最大!」

「大丈夫、いけるわ!」

「さあ、集中して思い浮かべてちょうだい、明人君。あなたの故郷、ユートピア・コロニーを。

あなたたちがこのナデシコを作り上げた、思い出の場所へ。」

 『信じるんだ、自分の力を。自分の中の正義を。』

「さあ跳んでちょうだい、明人くん!火星に!あなたの故郷に!」

 『俺の魂を・・・無駄に、するな・・・』

「!」

ふしゅっ

・・・何も、起こりません。ナデシコの外で青く輝いていたC・Cの輝きも、消えてしまいました。これは?!

「ど、どうしたの?!」

「ボース粒子反応消失!C・C沈黙!フィールド形成されていません!」

「そんな?!明人くん!?ど、どうしたの?!」

「・・・出来ない、俺には、出来ないんです・・・」

「な、何を言ってるのよ?!もう一度、がんばるのよ!!」

「・・俺は・・・俺は・・・すいません・・・すいません、白鳥さん・・・」

「放出したC・C、フィールド圏外に拡散します!実験は・・・失敗です・・・」

「そんな・・・」

 

「で、どういうことなの、ドクター・イネス?今回のジャンプ失敗の原因は?」

・・・結局実験は失敗に終わりました。放出したC・Cも大半が拡散してしまい、残されたC・Cは後残り一回の実験分のみ。もう失敗は出来ない。

てなわけでエリナさん、イネスさんの私室で、今回の実験失敗の原因を究明中です。

・・・て、いってもそんな格好いい物じゃなく、おコタでミカン食べながら、ですけど。

・・イネスさんの部屋、なんでこたつなんかあるんでしょうか?謎です。おまけに、この人たちの会話ときたら・・・

「は、は、ね・・・・早い話、失敗の原因はただ一つよ。明人くんのトラウマ。」

「ま、ま・・・マジなの、それ?」

トラウマ、ですか?それって・・・やっぱ、白鳥さんの事件?

「れ、れれれ・・・冷静に考えれば、わかるでしょう?白鳥九十九。彼をボソン・ジャンプで敵戦艦へ送ったことにより、

明人くんの心には、『彼を、自分が殺してしまった』という罪悪感が残った。それがボソン・ジャンプ成功の阻害となっているの。」

また、なんですね・・・あの人は、また全てを自分の中に抱え込もうとしている・・

「の、のー・・・のっぴきならない状況だったんでしょう?あれしか方法が無かったって・・」

・・だめですね、シリアスに決めようとしても、この会話の流れじゃ。

「て・・・T・P・Oから見ても・・」

「英語はダメよ。」

「けち。・・・て、て、て、適否の問題じゃないのよ。気持ちの問題なの。とにかく今の明人くんに、ボソンジャンプを行わせるのは難しいわね。」

ばんっ!!

イネスさんの言葉に、もろに焦りまくったエリナさんが反応しました。こたつに手をついて、詰め寄ります。

「寝ぼけたこといってる場合じゃないでしょ!どうすんのよ?!このままじゃあ木連の奴らに、先に“遺跡”を手に入れられてしまうわよ?!」

「間髪入れずに来たわね・・・よ、よくわかったわ、そうね、この際仕方ない・・か。瑠璃ちゃん、聞いているんでしょう?ちょっと。」

あ・・ばれてた。何を話すのか気になって、盗み見てたんんですが・・・じたばたしても仕方ないですね。

『・・・とぼけてもむだですね。なんでしょうか?』

「か、簡単に答えたわね、しりとり会話・・・と、とにかく、聞いていたのね?盗み聞きとは、趣味が悪いわね。」

「・・・猫かぶりですから、私。気になったもので・・」

「で、できるな、お主・・・まあ、そのことは後回し。とにかく瑠璃ちゃん、至急艦長をこの部屋に呼んでちょうだい。」

『今すぐ艦長を、ですか?』

「か・・・かまわないわ。急いでね。」

「ね、ねえちょっと、あなた?何をするつもりなの?」

「また、の?・・・のっけに言ったでしょう?『この際仕方ない』って。非常手段だけど・・・」

何をするつもりなんでしょう、イネスさん・・もしかして、艦長に明人さんの心のケアをしてもらうつもり、とか?でも、それなら・・・

私じゃ、だめなんでしょうか?私じゃ、あの人の心の傷を、癒せないんでしょうか?

私が、子供だから?それとも・・・

百合花さんの方が、あの人の支えになれると思ったから、なんですか?イネスさん・・・

 

どーもーっ!ナデシコ艦長ミスマル・百合花!呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーん!」

『・・・・・艦長の負け。』

「は?」

・・・思わず三人並んでため息付いちゃいました。この非常事態に、何やってるんでしょうね、私たち。

「・・まあ、いいわ。もう慣れたから。」

「早速だけど艦長、一つお願いが有るんだけど・・」

「はーい、イネスさん、わかってまーす!明人の事でしょう?」

「あら、珍しい。その通りよ。で、その解決策なんだけど・・・」

「それも、わかってまーす!どーんとまかせてください!」

「あら、すんなり。以外だわ」

「はいっ!全て百合花におまかせっ!」

「ち、ちょっと待って?!艦長あなた、ほんっっとに、わかってるんでしょうね?」

あまりのスムーズさに不信感を抱いたエリナさん、艦長に確認してます。それに対する

艦長の答えときたら・・・

「はい!もちろんです!明人と私はラブラブだからあ、この私の愛の力で、明人を優しく慰めてあげ・・」

「そういうんじゃないでしょーがあ!!」

すっぱーん!

「痛ったあああ!イネスさん、いきなり何するんですかあ?!」

「やっぱりさっぱりわかってないからでしょうが、あなたが!」

ま、予想通りの答えでしたけど。でも、明人さんのカウンセリングを頼むんじゃないとすると、一体何をさせるつもりなんでしょうか?

いえ、それよりもまず気になるのは・・

「それよりイネスさん、そのハリセン、どこから出したんですか?」

「あなた達とつき合ってると、こういう物が必需品になるのよ!まったく、もう・・・」

なにやらぶつぶつ言ってるイネスさん。でも、それって・・・

「朱に交われば・・」

「なんか言った?!」(ぎろり)

「・・・いえ。別に。」

「とにかく、艦長と明人くんがラブラブかどうかはこっちの方に置いとくとして・・・」

「ええー、置いとくんですかあー?」

「シャラップ!」

「・・・とにかく、今回は艦長には別のお仕事をお願いしたいんだけど・・」

「はーい、そのことでしたら、百合花におまかせっ!ぶいっ!」

「・・・もう一回同じ事言ったら、はったおすわよ。」

ぎくうっ・・・あ、はは、やだなあエリナさん、そんな怖い顔しなくても・・・」

「で、もういいかしら?話がちっとも進まないんだけど・・」

「はい。イネスさん、どうぞ。」

「えー、こほん・・・とにかく、今回のジャンプ失敗で私たちの手持ちのC・Cは残りわずか。

回数にして後一回分といったところね。もう失敗は許されない。と言うわけで、艦長には明人君の代わりを努めてもらいたいの。」

「明人の代わりって・・私が?」

明人さんの代わり?艦長が?それって、どういうことなんですか?

「ち、ちょっとドクター、それってどういうこと?今のところ生体ボソン・ジャンプを実行出来るのは、明人くんだけのはずじゃ・・まさか?!」

「そう。ついに解明したのよ。生体ボソンジャンプに必要な条件の全てを。なぜ明人君だけが生体ボソンジャンプを行えたのか?

その条件とは?それらを解き明かしたとき、わかったのよ。彼以外にも生体ボソンジャンプが可能な人間の存在と、その可能性にね。」

「ち、ちょっと待ってよ?!それじゃ、艦長にも生体ボソンジャンプが可能だ、と言うわけ?」

「艦長だけじゃないわ。このナデシコに、生体ボソンジャンプの出来る人間は、もう一人いる。」

「さ、三人も?!艦長と明人くん、最後の一人は誰なのよ?!」

「それは・・・私。」

イネスさんが?!

 

ぱしゅっ

「ちょっといいかい、天河くん?」

「・・・アカツキか。何の用だ?」

「おやおや、ずいぶんと不景気な顔だねえ。そんなんじゃ女の子にもてないよ。」

「・・からかいに来たのか?だったら出てってくれ。今はお前と話す気分じゃない。」

「気分じゃない、ねえ。自分勝手に相手方の正義を信じて、」

「やめろ・・」

「自分勝手に和平を実現しようとして、」

「やめろ。」

「その上失敗したからって、自分勝手に落ち込んで、実験にも協力しようとしない・・」

「やめろっていってんだろ!」

ばしっ!ダン!

「・・っ、たた・・・その上、自分勝手な暴力。さいてーだね、君って。」

「だまれ!だれが、お前らに、ネルガルなんかに協力なんか!!」

「それが自分勝手な子供だっていうんだよ!」

「なんだと!お前なんかに何がわかるって言うんだ!!」

「ああ、わからんね!そうやって君が落ち込んで、ジャンプ出来ないだなんて泣き言をいってるから、

彼女が君の代わりを務めること羽目になるんだよ!」

「泣き言だと!・・・?ちょっと待て、今『彼女』って、言わなかったか?」

「・・・ああ、言ったさ。君がジャンプ実験に拒否反応を示したから、その代わりに彼女がジャンプ実験の被験者になったんだ。」

「まさか、瑠璃ちゃんが?!」

「・・・ふっ、違う違う。被験者に選ばれたのは、艦長だ。」

「百合花が?!」

「ドクター・イネスの言うには、火星で生まれ、火星で育った人間だけが生体ボソンジャンプを行うことが出来るんだそうだ。

なんでも遺伝子がどーたらいう話らしいが、細かいことはドクターにでも聞いてくれ。とにかく、今から艦長が君の代わりに、

ジャンプ実験に向かうところ・・」

「百合花っ!」

だだだっ・・・

「・・・・いったか。ふう、やれやれ。これで良かったかい、エリナ君。」

ぴっ

『はい、ご苦労様、会長。』

「やれやれ、また思い切り殴ってくれたもんだ。色男が台無しだよ。」

『うふふ、その方が女の子にもてるかもよ。』

「おかしな趣味の女性に好かれてもねえ。しかし、これで本当によかったのかい?またややこしい事になりそうな気がするんだが・・・」

『あのまま落ち込んでる方が明人くんらしくないわ。それに、彼が落ち込んでる本当の理由は、自分自身の甘さよ。

やり場のない、自分自身への怒り。こういうのは外に吐き出した方がいい場合もあるのよ。』

「で、その矛先が僕かい?ひどいなあ。」

『うふふ、いいじゃない。あなたはネルガルの会長。坊主憎けりゃ袈裟まで憎い。適役よ。』

「やれやれ、恋は盲目ってやつかな?天河くんも罪な男だ。」

『な、な、な、何をいってるのよ!!私は、別に、そんなつもりじゃ、』

「はははは。照れない照れない。どうだい、その愛をこの僕にも捧げてくれないかい?」

『あなたにあげられるのは老婆心ぐらいのものよ。』

「つれないなあ・・・」

 

「C・C放出準備、完了!いつでもいけます!」

「わかったわ。ドクター、準備完了よ。」

「はい、ご苦労様。じゃ艦長、そろそろ始めるわよ。心の準備は良くって?」

「は、はあ・・あのー、それはいいんですが、その・・」

今私たちは、カキツバタの展望台に来ています。なんでもイネスさんが言うには、外の景色がよく見えるところの方が精神的に落ち着くんだとか。

でもって艦長は、実験のデーター収集の為の、センサーやら何やらが体中に付けられていて、まるで操り人形さんです。

「ああ、それね。仕方ないでしょ、実験のより正確なデーター収集のために必要なんだから。我慢なさい。」

「はあ、そりゃ我慢はしますけど・・そんなことより・・・」

「?何よ?」

「なんかこう、コードに絡められてる美女って、ちょっとエッチっぽくありません?十八禁のアニメみたいで。てへへ。」

「・・・電流。」

ぽちっ  しびびびび!

「あっきゃあああああっ!!」

しゅうう・・・・

「言い忘れたけど、このコード、ボタン一つで電流が流れるように仕掛けしておいたから。うかつな事は言わない方が身の為よ。」

「な、なんで、そんなものが・・・」

「私の趣味よ。」(きっぱり)

・・・ばかばっか。

「さ、気を取り直していくわよ。艦長、イメージしてちょうだい。火星、ユートピアコロニー。

私たちが三ヶ月の時を一緒に過ごした、思い出の場所。・・・あなたと、明人くんの故郷。」

「C・C、放出!」

「イメージ・・・」

艦長の体に、ナノマシンの光の奔流が浮かび上がりました。始まったみたいです。

そして・・・あの時と同じように、私が手を置くオモイカネのコンソールも、まるで

艦長のナノマシンとシンクロするように、明滅を始めました。

このボソンジャンプとオモイカネとの間には、何か秘密が有るんでしょうか?

そう、まるで・・・

「百合花っ!!」

突然、誰かが展望室に飛び込んで来ました。誰・・明人さん?!どうして、ここに?!

「明人?!」

「明人さん、どうしてここに?!」

「アカツキから聞いた!!百合花、なんでお前がこんな事を?!アイねえちゃん、どうして?!」

「明人・・・心配しないで。私なら、大丈夫だから!うん!」

「艦長の言うとおりよ、明人くん。大丈夫、危険は無いから。」

「そんなの、わかるもんか!!ジャンプ実験ならば、俺が!」

「それで、もし失敗したらどうするの?もうC・Cの残りはないのよ。失敗は許されない。」

「そ、それは・・・」

「大丈夫だって、明人!私だって艦長さんなんだから、明人にばっかりそんな危ないことさせられないから!

えへへ、でもうれしいな。明人が私のことを心配してくれるなんて。」

ずきん

・・・・そう、ですよね・・・艦長のことが心配だから、明人さん血相変えて飛び込んで来たんですよね・・・

「ば、ばか!何行ってるんだよ百合花!!」

「明人・・・白鳥さんのこと気にしてるんでしょう?私、がんばるから。明人の代わりに、明人の為に、私、がんばるから・・・」

「百合花・・・おまえ・・・」

明人さんの為に・・明人さんの代わりに・・・それは、私には真似の出来ないこと・・・同じ火星で生まれ、育った人にしか出来ない事。

「C・Cが拡散してしまう。実験、早く。」

いつの間にか、私の横に例の女の子・・・ラピス・ラズリが来ていました。

確かに、早くしないとC・Cが拡散してしまいます。のんびりしている場合じゃないみたい。

「それじゃ艦長、行くわよ!イメージング開始!」

「イメージ・・・」

再び艦長の体に、ナノマシンの奔流が浮かび上がり・・あの時と同じように、オモイカネを通じて、私にもイメージが流れ込んできました・・・

火星

赤い大地

ユートピアコロニー

小さい頃の明人さんと艦長

緑の草原

別れ

戦争

ナデシコの火星での戦い

私の誕生パーティー

飛び立つヤマト・ナデシコ

『必ず、戻ってくるから!』

「ジャンプ、開始しました!フィールド安定!問題なし!」

「よおおし、頼むよ、艦長!」

「ディストーションフィールド出力最大!」

「周囲の映像、回復してきました!ジャンプアウトします!」

 

眼下に広がる、赤茶けた大地。壊れたチューリップの残骸が、夕日に紅く染まっています。

そう、ここは元ユートピア・コロニーが有った場所。明人さんと艦長の、故郷。

そして、私たちが三ヶ月の時を過ごした思い出の地。

 

「ふう・・・成功、ね。」

「わああい!やったよ、明人!!」

「こ、こら!抱きつくんじゃない!」

無邪気にはしゃいで、明人さんに抱きつく艦長。

少し困ったような、照れたような顔の明人さん・・・

がたん

「?星野瑠璃?」

「・・・もう、実験は終わりですよね?私は、ナデシコに戻ります。」

「そう。わかった。」

ラピスにそう告げると私は、コンソールを手に、逃げるようにその場を後にしました。

「瑠璃ちゃん?」

「どうしたの、明人?」

「あ、いや・・・」

 

カキツバタの廊下を、私は走ります。あの場から、一刻も早く遠ざかりたくて。

私は、私には、何もできない。

艦長のように、明人さんの代わりとなって実験台になることも。明人さんの苦しみを、トラウマを、癒してあげることも。

何も言えない、何も出来ない、ただの子供。

なら、せめて、“妹”として側にいれれば、いい。

そう、それだけで、十分・・・

でも、どうしてこんなに苦しいの?

どうして、こんなに切ないの?

私・・・壊れちゃったんでしょうか?

オモイカネは、何も答えてはくれませんでした・・・

そして火星は、これから戦場になります。

全ての決着をつける為に・・・

 

−−−続く

2000/4/16 かがみ ひろゆき

 

 

                                ***次回予告***

リョーコ:おっす!リョーコだ。いやー、ついに戻ってきた火星、ユートピアコロニー!この前はぼこぼこにやられちまったけど、

     今回はそうはいかないぜ!ユキナ、安心しな!お前の兄ちゃんの敵は、必ずオレたちがとってやるからな!!

ユキナ:ピッカー、ピカピカ!!

リョーコ:え?何々・・・『私なら大丈夫、一人でも強く生きていくよ!』だって?くーっ、けなげなこというじゃねえか!がんばれよ!(くしゃくしゃ)

ユキナ:ピ、ピカピカ!

リョーコ:え?『そんなにきつくなでたら、苦しいよ』ってか?悪い悪い。さて、そんじゃま・・ 

     次回機動戦艦ナデシコif・第二十二話:どこにでもある「勇気」次回もポケモン、ゲットだぜ!!

ユキナ:ピカチュー。

 

                                  ///あとがき///

どうもみなさん、お久しぶりです(苦笑)かがみ ひろゆきです。いよいよ残すところ後三話となりましたナデシコif、ようやくお届けできました。

なんか、泥沼的絶不調な今の私。山籠もりの特訓中です(笑)今は自然石割りに挑戦中。

最終話では、熊を一撃で倒せるようになるのが目標です。(意味不明だなあ)

なお、今回の予告は『例のアレ』からアイデアをいただきました(笑)Kitaさん、どうもありがとー!!ナデシコCDありがとー!(笑)

前回の予告は「新機動武闘伝Gガンダム」でした。正解者は次の方々です。

超兵器Aー1号さん、桜華さん、栗木 宣幸さん、めるう゛ぃるさん、Hrrachさん、かき氷戦隊フロストファイブさん、神凪さん、

NOVさん、影竜さん、Kitaさん。以上十名の方々でした。おめでとう&いつもほんとうに、ありがとう!!


それでは、次回も首を長くしてお待ちください。それではさよーならー・・・


かがみさんへの感想メールはこちら
langa@tokai.or.jp


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